会津若松母親殺害事件　少年を医療少年院送致に


2007年5月14日、会津若松市で男子高校生が母親を殺害したとされる事件について、福島家裁会津若松支部は少年を医療少年院送致の保護処分とすることを決定しました。

この件についてのウェブ上の報道は、毎日新聞が詳しいようです。
福島母殺害：少年を医療少年院送致…保護処分　家裁支部 (毎日jp)
福島母殺害：医療少年院送致の保護処分、双方とも抗告せず (毎日jp)
福島母殺害：家裁支部の認定　「友人作れずネットに耽溺」 (毎日jp)
福島母殺害：普通に見えた子「特殊ケースでない」と専門家 (毎日jp)

また中国新聞にもよい記事がありました。
刑事罰より治療や更生重視　母親殺害 (中国新聞)

地元？の河北新報の記事も詳しいです。
少年を医療少年院送致　家裁支部決定　会津若松・母親殺害 (KoL net)

他大手紙の記事
医療少年院送致へ　会津母殺害　「治療と教育必要」 (asahi.com)
母殺害の１８歳、医療少年院送致　福島・会津若松 (MSN産経ニュース)
母親殺害・遺体切断、１８歳少年の医療少年院送致を決定 (YOMIURI ONLINE)


報道を見る限り、この決定は妥当なものであると感じます。
中国新聞は以下のように述べています。
刑事罰が科せられた少年を収容する少年刑務所は、過剰収容の影響で成人受刑者も混在。障害のある少年の収容に必要なプログラムが整備されていないとの指摘もある。

～中略～
適切な治療を進めつつ更生を図ろうとした判断は、少年が抱える個別の事情をとらえた現実的な判断といえよう。
（刑事罰より治療や更生重視　母親殺害 中国新聞より）

この決定の一つの特徴は完全責任能力を認めながら、最初の処遇の場として医療少年院を選んだところにあるのでしょう。
少年の付添人の弁護士は家裁について「詳細な調査や検討をしており頭が下がる思い」と評価した。
（刑事罰より治療や更生重視　母親殺害 中国新聞より）
審判が６回も開かれたのは、精神状態について本人や父親への質問で詳細に把握しようとしたのだろう。
（少年を医療少年院送致　家裁支部決定　会津若松・母親殺害 KoL net　記事中の守屋克彦・東北学院大法科大学院教授のコメントから）

家裁のこのような姿勢が今回の決定に結びついているのかもしれません。

ただ今回の決定は、今の時点での現実的な判断であることは確かだと思うのですが、完全責任能力があるとしながら少年院送致という決定がなされたことに疑問がないわけではありません。本来は少年刑務所、医療刑務所などにこのような障害を持つ受刑者の矯正のためのプログラムなどが整備されることが望ましいのではないでしょうか。

また具体的な障害名がほとんど挙げられていないということが、今回の決定についての報道の一つの特徴であると思います。ちょっと詳しい人が見ればどのような障害が念頭に置かれているのかはすぐにわかるのですが、予備的な知識を持たない人に障害名のみが伝わることが避けられるという点では評価されるべきなのかもしれません。障害名を出さないことが必ずしもよいとも言い切れないとは思うのですが、まずは歓迎すべき方向と言えるように思います。

関連過去記事
会津若松母親殺害事件　少年を医療少年院送致に (2008.2.27)
会津若松母親殺害事件　家裁による再鑑定結果 (2008.1.25)
山口、京都、会津若松　少年の精神鑑定 (2007.10.23)
会津若松母親殺害事件　鑑定結果 (2007.10.3)
会津若松母親殺害事件　本鑑定実施へ (2007.5.27)

Posted: 水 - 2月 27, 2008 at 07:40 午前       |

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