障害者虐待防止法　三たび（？）法案提出へ


三たび、障害者虐待防止法案の提出が準備されているようです。
障害者虐待：発見者に通報義務　防止法案提出へ （毎日jp）

追記（2011.6.14）
毎日新聞社説で取り上げられていました。この法案をめぐる経緯についても触れられています。この社説がでるなら、このエントリ書かなくてもよかったかも…。まずこちらをお読みください。
社説：障害者虐待防止法　今度こそ党超え実現を （毎日jp）

障害者虐待防止法成立に向けての動きは、かなり以前からあったようですが、これまで成立しないままに来ています。

2004年に顕在化した「カリタスの家」の施設内虐待問題が、この障害者虐待防止のための法律が必要であると広く認識されるようになった一つの契機であったことは間違いないでしょう。
参考　「カリタスの家」問題特集（上） （「中」の記事に障害者虐待防止法に関連する記述あり。）

公的な動きとしては、2005年の厚労省による「障害者虐待防止についての勉強会 」が早期のものと言えるのでしょうか。この頃に本ブログでも一度「障害者虐待防止法制定へ 」と題した記事で取り上げています。記事中では翌年の提出を目指すと書かれていますが、実際にはもう少し時間がかかったようで、その後、この法案は2009年7月9日に、与野党の共同提案の形で、通常国会に提出されています。
衆法 第171回国会 49 障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律案
このときの本ブログの記事が「障害者虐待防止法　与野党案提出 」でした。

この法案は2009年衆議院解散 のため、廃案となってしまいましたが、その後、同年中の国会に与野党からの提案という形で、再度提出されています。
衆法 第173回国会 6 障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律案
このとき与野党共同提案であるにも関わらず成立しなかった理由がよくわからないのですが、郵政がらみで荒れていた国会だったはずなので、その余波を受けたということかもしれません。

その後おそらく継続審議となっていて、衆議院のウェブサイトによれば、174回から現在開催中の177回までの国会には、ずっと議案として掲載されています。そのため、ここに来てまた法案が提出されるということの意味が自分にはいまいちよくわからないのですが、修正案が再提出されるということなのでしょうか。ざっと見た限りでは、過去の法案と今回の報道の内容には大きな差異はないように見えるのですが、何か変更点があるのかもしれません。このあたりどなたか詳しい方がいらっしゃいましたらぜひご教示をいただければと思います。

いずれにせよ、与野党の合意も得られて、今にも通りそうな割になかなか成立しない、不運な法律であるということは言えそうです。福祉サービスの充実なしに、虐待防止だけを言うことは確かに矛盾を現場に押しつけることにもなりかねませんが、繰り返される障害者の虐待事件を予防するためにも、また虐待が生じにくい福祉などのシステムを構築するための後押しとしても、この法律には期待がかかります。三度目の正直、になるのでしょうか。

関連過去記事
障害者虐待防止法成立 （2011.6.18）
障害者虐待防止法　三たび（？）法案提出へ （2011.6.13）
障害者虐待防止法　与野党案提出 （2009.7.13）
障害者虐待防止法制定へ （2005.5.9）

Posted: 月 - 6月 13, 2011 at 12:31 午前       |

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