向井義氏　特別公務員暴行陵虐容疑で逮捕


少年院における発達障害を念頭においた矯正実践の報告で、高い評価をうけていた向井義氏が、広島少年院における特別公務員暴行陵虐の疑いで、2009年８月１１日、逮捕されました。

【速報】元首席専門官を逮捕　広島少年院での暴行容疑 (中国新聞)
元首席専門官が暴行、他教官もまねる？　少年院事件 (中国新聞)
少年への特別暴行陵虐容疑　広島少年院元首席専門官逮捕 (asahi.com)

向井義氏は、宇治少年院での実践の後、広島少年院、瀬戸少年院に勤務し、現在は奈良少年院次長であるようです。
関係者によると、向井容疑者は宇治少年院で発達障害に着目した個別処遇プログラムを実践。先進的な取り組みとして教育関係者の評価を得た。２００５年４月に赴任した広島少年院でも同じ手法を続けたとされる。
取り組みは政府の教育再生会議分科会で紹介され、向井容疑者は全国の講演会などに講師として招かれた。
（元首席専門官が暴行、他教官もまねる？　少年院事件 中国新聞より）

宇治少年院での実践は、発達障害支援に関わる人たちの間でも話題になっており、当ブログでも何度かご紹介しています。
精神鑑定の目指すもの (2005.12.22)
宇治少年院、閉鎖へ (2006.9.1)

広島少年院の事件では、すでに同じ特別公務員暴行陵虐の疑いで、4人の法務教官が逮捕、起訴されています。
地検の調べでは、向井容疑者の暴行容疑は着任の約５カ月後。４教官のうち、当時、部下だった２教官はシャワーホースを首に巻いて絞めさせるなどの暴行について、向井容疑者の方法をまねたという趣旨の供述をしているという。
（元首席専門官が暴行、他教官もまねる？　少年院事件 中国新聞より）

指導的立場であったということからも、今回の逮捕につながったのでしょうか。ただし向井氏自身は容疑を否認しています。
向井容疑者は調べに対して容疑を否認し「洗剤を使ったことは認めるが、他はあまり覚えていない」と話しているという。地検は奈良少年院や向井容疑者の自宅を家宅捜索した。
（少年への特別暴行陵虐容疑　広島少年院元首席専門官逮捕 asahi.comより）

向井氏の実践は矯正関係者以外からも注目を集めていました。今回の逮捕の容疑がもし事実であれば、それは許されることではありませんが、一方で矯正施設の中での発達障害を念頭においた個別支援はやはり有効なのではないかと思います。ただ矯正施設という、規範、秩序の維持が強く要請される機関の中で、個別支援を実施するという本質的な困難はやはりあるのではないかとも思われます。その整合性の取りづらさがこのような強引な手法につながったと考えるという見方はちょっと穿ちすぎかも知れませんが…。

いずれにせよ今後の捜査の進展がとても気になります。またこの一件のみで、少年院に限らない刑務所なども含めた矯正施設での発達障害への対応の向上が、遅れることのないように望みます。

関連過去記事
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Posted: 水 - 8月 12, 2009 at 07:41 午前       |

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