厚生労働省検討会　子どもの心の診療医の養成に関する報告書


厚生労働省の「子どもの心の診療医の養成に関する検討会」は、2006年3月8日、報告書をまとめました。

報告書の全文（？）がこちらからダウンロードできます。
第９回子どもの心の診療医の養成に関する検討会資料（平成１８年３月８日開催） （WAM NET より）
ただしここに掲載されているのは、あくまでもこの日の検討会に出された「案」なので実際の報告書では少し修正されているのかもしれません。

議事録を見る限りでは、かなり緊迫した議論がなされた検討会であったようですが、報告書はその成果を反映してかまとまりのあるものになっています。

結構な分量のある報告書なのでざっとまとめてみます。
報告書では「子どもの心の診療医」を、3段階に分けて研修を行うことを提言しています。全ての段階において小児科を基盤にした医師、精神科を基盤とした医師のそれぞれを想定しているようです。それぞれの段階に応じて、細かな到達目標が規定されていますが、専門性を要求される第2、第3の段階では、両者の到達目標は共通のものとなっています。

1.　一般の小児科医・精神科医
卒後臨床研修終了後、小児科や精神科の一般的な研修を修了し，一般的な診療に関わる医師
つまり，ほぼ全ての小児科医、精神科医に、日常的な子どもの心の問題についての配慮を求めるということになります。
精神科の場合には、高校生年代の診断と治療、中学生年代の診断と初期対応、小学生以下の年代の疑診と紹介ができることなどを求めています。
このレベルの医師の教育においては、卒前教育（医学部での教育）と卒後研修（卒後２年のローテート研修とその後の小児科、および精神科での専門研修、生涯研修）が重視されています。


2.　子どもの心の診療を定期的に行っている小児科医・精神科医
1を経て、さらに子どもの心の診療に関する一定の研修を受け、子どもの心の診療に定期的に携わる医師
子どもの心の問題について、中等症例までの対応と適切な対応ができることが目標とされています。
養成に関しては、関係学会、医師会、大学、NPOなどによる講習会などの研修プログラムで対応することになっています。
具体的には、

(1) 学会連合型単位獲得研修コース
学会の専門医などと同様に、学会、研修会への出席などにより必要単位を取得する

(2) 短期研修コース
基礎研修（3日間）と症例検討研修（1日？）を3回

(3) 中期研修コース
1ヶ月から3ヶ月程度の臨床研修、または週1日ないし2日間の研修を1年以上

というコースが想定されています。
これで中等症例への対応をと言われると少し厳しい気もしますが、一定以上の数を確保すると言う観点からはやむを得ないのかもしれません。


3.　子どもの心の診療に専門的に関わる医師
1または2を経て、子どもの心の診療に関する専門的研修を受け、専ら子どもの心の診療に携わる医師
重症例，難治例の診断と治療を行うことができること、また専門家の養成を行うことができることなどが求められています。
養成には子どもの心の診療を専門的に実施している医療機関における1〜3年間の長期研修を行う、とされています。

全般に、かなり要求の水準を落として、（特に第二段階）数の確保を優先した内容になっている感は否めません。もっとも現在の子どもの心の診療医の数の不足は深刻であるため、当初の目標設定としては適切なのか、とも思います。将来的には更に要求の水準を上げていくことになるのでしょうか。

児童精神科の研修に関する記事をあつめてあります。ご参考になれば幸いです。
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Posted: 月 - 3月 27, 2006 at 08:55 午後       |

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