統合失調症と犯罪


統合失調症で通院、入院歴のある男性が傷害致死などの容疑で逮捕されたようです。
（yahoo ってなんだかMedia watchingではなくてyahoo watchingだな。ちょっと反省）

彼はこの先どうなるのでしょうか。

というのは最近医療刑務所に勤務している先輩の精神科医に聞いて初めて知ったのですが、医療刑務所では「強制的な医療はできない」のだそうです。
（伝聞の話なので事実誤認があったらお知らせください。）

つまり措置入院や医療保護入院など（精神保健福祉法にもとづく強制入院）と違って、医療刑務所の受刑者は治療を拒んだ場合、強制的な治療を受けさせることはできないらしいのです。これは病状などのために受刑者本人が服薬などを拒んだ場合、それ以上の治療の方法がほとんどなくなることを意味します。精神保健福祉法による強制入院（普通の病院への強制入院）なら、注射や点滴で薬を投与して、症状が落ち着いたところで再度服薬を促すと言うことができるのに…。僕はもちろん（大部分の精神科医と同じく）統合失調症の状態の悪い患者さんに、本人が同意しなくても抗精神病薬を投与するのは適切であると信じています。

僕はその話を聞くまでは、統合失調症患者によるものでも責任能力があるとされる犯罪はおそらくあるだろうし、その場合は裁判を受け医療刑務所に入るのが妥当だと思っていました。しかし受刑しているが故に適切な医療を受けられないとすると考えを改めないといけない気がします。しかし逆に受刑中というただでさえ人権が侵害されやすい状態の人に、さらに強制的な医療を受けさせることにある種の危うさを感じるのも確かなことです。

精神疾患を持つ受刑者の人権。最適な医療を受ける権利と治療を受けない権利。
単に法律の不備というだけでは片づかない問題が、ここにも一つあるようです。

Posted: 水 - 9月 3, 2003 at 06:43 午後       |

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