知性が正常範囲（IQが70以上）であれば、自閉症スペクトル障害の症状は年を追う毎に改善していく？


自閉症スペクトラム障害を持つ子ども91人の、IQ（知能指数）やDQ（発達指数）、初診時年齢、CARS スコア、社会経済的状況などについて調査した論文がPediatrics 誌に発表されました。
Modeling clinical outcome of children with autistic spectrum disorders. (英文　Pediatrics. 2005 Jul;116(1):117-22.)
日本語の解説がこちらに（BioToday: 知性が正常範囲（IQが70以上）であれば、自閉症スペクトル障害の症状は年を追う毎に改善していく ）

これによると最初に測定されたIQ/DQが70以上であった群ではその後CARSの点数が優位に下降したのに対し、70未満の群では下降が見られなかったとしています。CARSの点数の下降は自閉症スペクトル障害の特徴が目立たなくなってくることを意味しています。ただし社会経済的状況については両群間に差は見られなかったようです。

非常によいデザインの研究とは言えないため、結果の信頼性には若干の疑問は残ります。ちょっと荒っぽい研究ですし、ケースの数も多くありません。

しかしIQの高い子どもほど、もっと言えば言葉の力の高い子どもほど、学習の効果などから、成長にするに従って一見、自閉症的な特徴が現れにくくなる傾向は確かにあるように思います。とはいえそれがそのまま社会的、経済的状況の改善や、本人や家族の暮らしやすさや生活の満足感などに直結するわけでもないところが、難しいところです。

Posted: 火 - 7月 12, 2005 at 12:32 午前       |

©