自閉症男性自殺　遺族がヤマトロジスティクスを提訴　


知的障害を伴う自閉症の男性が自殺したのは、会社の配慮不足が原因であるとして、遺族が勤務先であった「ヤマトロジスティクス」に損害賠償を求める訴訟を起こしました。
自閉症男性自殺：会社の配慮不足が原因と提訴 (MSN毎日インタラクティブ)
知的障害伴う自閉症の男性自殺　母親が勤務先提訴 (Sankei Web)
ヤマト運輸関連会社を提訴＝自閉症配慮怠り自殺と遺族－東京地裁 (Yahoo News 時事通信)
「自閉症に無配慮で自殺」 　遺族が勤務先提訴 (東京新聞　共同通信)

記事の情報から時間経過を追っていくと以下のようになります。

2002年11月 障害者枠でヤマト運輸の関連会社であるヤマトロジスティクスに入社。このとき会社は上司や同僚に障害について知らせなかった。
2004年秋 上司の厳しい指導のため「うつ病状態」に。
2005年2月 勤務時間の変更を告げられたことから、社内で自殺を図る。会社は家族に知らせなかった。
2005年３月 自宅で自殺。

いくつもいくつも気になる点があるのですが、現時点では詳細がわかりません。

・家族や本人は自閉症と診断されていることを会社に知らせていたのか。
・上司や同僚には知的障害があることは理解されていたのか。それすらも知らされていなかったのか。
・なぜ家族や本人から上司や同僚に障害のあることが伝えられなかったのか。
・仮に上司に自閉症だと伝えられていたとすれば、上司はそれに適切に対処できるだけの知識や経験を持っていたのか。あるいはそこをサポートできるだけの態勢が社内、グループ内、あるいは行政の側（障害者職業センター からのジョブコーチ派遣など）に整っていたのか。2002年の時点ではどうか、あるいは2005年ではどうなのか。
・どこかの時点で抑うつに関して精神科を受診していたのか。「うつ病状態」という耳慣れない言葉は誰によるものなのか。精神科医？　遺族？　毎日新聞記者？
・精神科を受診していたとしたら、どのような治療がなされていたのか。

考えさせられることの多い事例です。今後の裁判のなかで明らかにされてくる部分もあるのでしょうか。

実はニュースを聞いたとき、この会社がヤマト運輸の系列であるということが、まず意識されました。
ヤマト運輸と言えば、この業界ではスワンベーカリー事業 を行っているヤマト福祉財団 、株式会社福祉ベンチャーパートナーズ とヤマト運輸元会長の故小倉昌男氏との関わり などが知られています。訴訟が起こされたばかりで事実関係が確認されていない今の段階では適切な感想ではないのかも知れませんが、つい「ヤマト」ですらそうなのか、と思ってしまいます。

ともあれこうした訴訟が、自閉症者の就労の場を少しでも増やすこと、またそれぞれの職場で適切な支援がなされることに繋がっていくよう、祈るばかりです。

関連過去記事
株式会社福祉ベンチャーパートナーズ (2005.7.1)

Posted: 日 - 8月 6, 2006 at 12:27 午前       |

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