自閉症児の歯科治療


全身麻酔下で歯科治療を受けていた知的障害のある女児が、麻酔中になくなるという痛ましい事件がありました。
全身麻酔で虫歯治療の女児、急性心不全で死亡…山梨 (YOMIURI ONLINE)

この記事だけでは詳しい状況はわかりませんが、全身麻酔の場合、何か取り立ててミスがなくても、一定の確率でこうした事態が生じるとされます。
司法解剖の結果などを待たないと、何が起こったのかはわかりませんし、待ったとしてもわからないこともありそうですが、
「適切な方法で治療は終盤まで順調に行われていた。どうしてこうなったか全くわからない」

というセンター側のコメントからすると、とりあえず現時点では明らかなミスなどに基づくアクシデントではなさそうには思われます。

では、こうした事態は避けられないのか、ということになりますが、そもそも全身麻酔を避けてしまえば、麻酔に起因する死亡の可能性は減らせるはずです。局所麻酔薬によるショックなどもありうるので、全身麻酔でなければ絶対に心配がないということではありませんが、やはりできれば避けたいところです。処置の種類や緊急性、その子どもの状態などによって、どうしても全身麻酔を行わなければならない場合はありますが、工夫次第で麻酔をかけなくてもできる処置を増やすことはできます。

ということで、コツコツ集めていた知的障害のある方への歯科受診に関するアドバイスが掲載されているページを、まとめてご紹介させていただきます。どうも僕の集め方が偏っているせいか、自閉症の方向けのものばかりになっていますが、自閉症の子どもにわかりやすいやり方は、多くの知的障害をもつ子どもに応用することもできます。ご参考になさってください。

まずは宮崎県地域保健活動推進協議会による、
自閉症児とその家族のための歯科保健
のページです。自閉症と歯科治療全般に関して、幅広く記事が掲載されています。歯科治療などに関するFAQ や説明用の絵カード などもあります。また歯科治療に使うアマルガム（水銀を含む合金）と自閉症との関連についての詳細な記事 があります。

絵カードといえば、京都府自閉症協会の、
医療用絵カード歯科編
1セット2000円で通信販売されています。

こちらの記事には、自閉症の歯科治療に当たる場合の、注意点や対応などが詳しく説明されています。
自閉症児のお口の健康と歯科治療上の問題 （愛知県心身障害者コロニー中央病院歯科）
年代別の注意点や受診時の工夫について書かれています。

藤本歯科医院 のサイトに自閉症の方の歯科治療 というページがあり、この中で治療場面の構造化の例が写真付きで解説 されています。

また定番の自閉症児者を家族に持つ医師・歯科医師の会 のホームページには歯の治療 という、ワンポイントアドバイスを集めたページがあります。また虫歯予防の手引き も力作です。

知的障害や発達障害のある子どもたちが、少しでも安全に歯科治療を受けられるように、これらのページもご覧いただきながら、ぜひ工夫をしていただければと思います。

Posted: 土 - 7月 7, 2007 at 12:46 午前       |

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