自閉症スペクトラムと周産期の状況


自閉症スペクトラム患者における周産期の状況を、その同胞および対照群と比較した研究が発表されました(PubMed 英文)。
Archives of General Psychiatry の61巻6号の618-627ページ に掲載されています。


西オーストラリアで1980年から1995年に生まれた、自閉症スペクトラム患者465人、その同胞(兄弟姉妹) 481人、対照群(定型発達児) 1313人の周産期(出産前後)の出来事や状況を比較した論文です。
以前から言われてきたことを、かなり多数の症例で確認した報告であると言えます。

これによると自閉症スペクトラムで非常に多かったのは、
高齢の両親、第一子、切迫流産、硬膜外仙骨麻酔の使用、陣痛誘発、１時間以下の分娩時間です。

また胎児仮死、選択的または緊急帝王切開、１分後のApgarスコア が6点以下のものも多かったとしています。
自閉性障害のケースでは、特定不能の広汎性発達障害やアスペルガー障害の場合より、周産期の障害が多く見られたともしています。

鉗子分娩や吸引分娩について触れられていないのが、ちょっと不思議ですがどうなのでしょうか？
まだ論文全部を読んでいないので、そちらに記載があるかもしれません。職場に雑誌が届くはずなので確認しておきます。

この論文の著者も書いていることですが、ここで強調しておかなければならないのは、周産期の異常のみが自閉症の原因とは言えないということです。
現時点では原因を特定できませんが、遺伝的要因、胎児期の状況なども関与しているのは、ほぼ間違いないと言えるでしょう。

Posted: 金 - 6月 18, 2004 at 10:18 午後       |

©