Book Review 『少年犯罪厳罰化　私はこう考える』


自閉症裁判―レッサーパンダ帽男の「罪と罰」の佐藤幹夫氏と累犯障害者の山本譲司氏の編集による、少年犯罪に関する新書が出版されています。
少年犯罪厳罰化私はこう考える少年犯罪厳罰化私はこう考える
佐藤 幹夫 山本 譲司

洋泉社 2007-06
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この本では11人の執筆者が、それぞれの分野に関して論じているのですが、共編著の佐藤、山本両氏を始め、藤岡淳子氏、品川裕香氏、高岡健氏など、このブログの読者にはおなじみ（？）の論者がそろっています。少年犯罪全体を視野に入れた本ですが、発達障害と司法に関する記述も多くなっています。

構成のなかで強調されているのは、「処遇」、「更生」と題されたパートであり、少年院と少年刑務所における処遇の違いについて触れらている濱井浩一氏による論文は特に興味深いものでした。というのは、本書の中でも繰り返し触れられている寝屋川事件の判決の中にあったとされる処遇意見の意味を理解するには、この点についての知識が不可欠です。（寝屋川事件の判決に関しては、当ブログの過去記事、寝屋川教職員殺傷事件　地裁判決 をごらん下さい。）この処遇意見では、少年刑務所においてそこがあたかも少年院であるかのような処遇をすることが求められています。果たしてそれが本当にできるのか、それがよくわからなかったのですが、この論文の中でその困難さが丁寧に論じられています。

本書は全体として、司法、矯正の場における実態を丁寧に伝えている執筆者が多く、非常に参考になる内容でした。入手しやすく読みやすい新書でもあり、一読の価値はある本であると思います。

Posted: 月 - 6月 25, 2007 at 10:14 午後       |

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