引きこもりとリタリン乱用


神戸市の内科医、小川良一氏が引きこもりの男女に、向精神薬リタリンの乱用が広がっているという調査結果を発表しました(神戸新聞 )。

児童精神科領域ではもっぱらADHD(注意欠陥多動性障害)の治療薬として使われるリタリン(メチルフェニデート)ですが、日本で認可されている適応はナルコレプシーと難治性のうつ病となっています。中枢神経刺激薬に分類され、乱用されやすい薬物です。使い方さえ間違わなければ非常に有用な薬剤ですが、こうした危険性があるため、多くの医療機関では投与に対し、慎重になっています。特に成人に対しては、慎重に投与されるべきでしょう。ADHDやナルコレプシーでは他の選択肢が少なく、治療効果が高いため今後も使用されると思いますが、他に多くの治療手段のあるうつ病への適応は再考すべきではないかと、僕は考えています。

この研究自体は対象の選び方や方法に限界はありますが、危険性への警告として非常に意味のあるものであると思います。ただ患者の1/3が服用という結果はあまりにも多すぎるような気はしますが。そもそも医療機関と何らかの関わりを持っている引きこもりのケース自体が、多くはないと思われるので、その中での数字という解釈で良いのかもしれません。引きこもり自体が精神医学的に見れば非常に不均一な集団ですので、調査方法や引きこもりの定義の用い方などによって、かなり偏りのあるデータが出やすいと言えるのではないでしょうか。

リタリンの乱用についてはこちらのページもごらん下さい(赤城高原ホスピタル リタリン乱用 )。

Posted: 火 - 3月 30, 2004 at 10:28 午後       |

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