小児へのSSRI投与〜未公開データを含む検討〜


The Lancet 誌に小児のうつ病に対する抗うつ薬、SSRIの投与に関して、未公開データを含むメタアナリシスを行った論文が掲載されています。論文の概要はこちら(PubMed 英文)。日本語の解説記事がこちらにあります(Hotwired )。

結論としてはフルオキセチン(プロザック、日本未発売)を除くSSRI、SNRIでは、未発表データまで含めると有害事象が多く、投与のリスクが効果を上回るとしています。ただし日本で発売されている薬品でこの研究の対象になっているのはパロキセチン(パキシル)のみで、フルボキサミン(ルボックス、デプロメール)、ミルナシプラン(トレドミン)については検討されていません。

この論文の指摘の重要な点は、発表データと未発表データの間で、結果に乖離があったという点でしょう。この点については、経緯の調査なども含めて明らかにしておかねばなりません。

ただ僕自身の臨床的な実感としては、SSRIは児童、青年期のうつ病に対して一定の効果があり、有害事象の発生も多くはないと感じています。他によい薬物がないだけにSSRI、SNRIが小児うつ病に対して禁忌となってしまうと、治療が非常に困難になるでしょう。

まだ論争の最中であり結論の出ていない問題ですが、成り行きが非常に気になります。

興味のある方はこちらもご覧下さい。
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Posted: 木 - 4月 29, 2004 at 10:06 午後       |

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